歩留り改善について_10 ~根拠のない勘~
それって思い込み?
現場で根拠のない勘で物事をいう方がいます。
はたして信じてよいのでしょうか?
基本は信じません。
意味不明なことを真面目に言う方もいます。
しかし、過去の経験があって、そういうのであればそれは価値があります。
問題は何を根拠にしているかです。
客観的に見て、筋が通っているかいないかを聞きだしてみてください。
大事なのは裏付けになるデータ、経験は何かです。
過去トラ(過去のトラブルをまとめたもの)があれば、それを見てみることも良いです。
過去トラを作ってない場合は、今すぐに始めたほうが、将来役に立ちます。
同じ失敗を繰り返さないため、活用してみてください。
そして、このときもFTAにフィードバックをすることが重要です。
そうすることで、FTAが充実していき、最終的にはあらゆる不良に対して有効な対策が打てるようになるのです。
歩留り改善について_9 ~取っているデータは必要なもの?~
データが多すぎ?少なすぎ?
日々の日常点検や定期点検、分析などで数々のデータを取っていますが、それで十分なのか、不十分なのか検討し続けなければなりません。
たいていは無駄なデータになりがちですが、いざ不良がでたときに役に立つことがあります。
また、きちんとデータを解析したときに、見えてくるものもあります。
ただ数が多く、まとめるのに時間がかかるためやっていないとか、そういったものが数多くあるはずです。
時間ができたときに、エクセルでまとめてみるとよいと思います。
エクセルのマクロは決まった操作をする場合は非常に便利ですので、一度トライしてみてください。
ネットで調べるだけでも十分に活用できるはずです。
今は少しネットで調べるだけで、多くのことがわかる時代になりました。
今は動画でも見ることができます。
積極的に活用してみてください。
歩留り改善について_8 ~どうしようもないとき~
何をやってもわからない・・・
どうしようもないとき、何をやっても結果がでないときもあります。
全ての策が尽きた場合、長期的なテーマとして扱うようにしてください。
複合要因だった場合、他の改善が進み真の原因がわかるかもしれません。
また、新しい部品や装置が出てきて課題を解決してくれるかもしれません。
やはり、結果を出すことが最優先です。
結果が出ないのがわかった時点で、次のテーマの優先順位を上げるべきです。
ただ、ここで大切なのは、問題点とその時点で分かっていることを明確にしておくことです。
いつか来たるべき日に、その機会を逃さないようにしっかり記録を残しておいてください。
新製品などの情報も定期的に確認するべきです。
たいていはメーカーの「こんなことができたらいいのに」の声が反映されるので、課題解決の助けになることがあります。
「これって使えるかも?」と思うことがあるはずです。
歩留り改善について_7 ~音や振動を感じる~
現場で感じる音や振動
IoT( Internet of Things)という言葉がやはっていますが、装置の状態をデジタル出力して、一括管理しているところもあると思います。
ただ、古い装置などの場合、計器はだいたいがアナログで、予算も取れないのですぐデジタルに移行できないところも多いと思います。
突発で起こる不良などは、装置の異常起因のものもあります。
駆動部品は摩耗しますので、こういったことはどうしても起こります。
特に古い装置であればなおさらです。
半導体などで最新の設備をじゃんじゃん導入しているようなところであれば、問題ないのでしょうが、資金の無い日本企業では古い中古設備を買ってきて使用している工場も多いです。
研磨などでベアリングやギアなどの摩耗があってうまく回転しないとか、偏心するなどによって加工がうまくいかないとき、重要なのが音と振動です。
異常がある場合、意外と「いつもと違うな」と感じます。
現場での感覚は重要で、そこがヒントになって改善の手がかりになることもあります。
本当はモーターの電流値の変化などで見えるものなのでしょうが、デジタル化を待っている場合ではないです。
電流値や騒音レベルで小さい異常がすべてわかるかというと、今すぐには難しいでしょう。
ただ、流量計などはクランプオン式で手軽に取り付けられるものが出てきていますので、そういったものは積極的に活用しましょう。
アナログな方法ですが、現場で仕事しているならば是非感じてみてください。
歩留り改善について_6 ~5Sは本当に必要か?~
5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)について
5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)は現場ではよく言われていることです。
しかし、それで結果が出るかと言われると、そこまで劇的にはありません。
根本となる原因は別のところにあることが多いのです。
整理・整頓と言って、現場からすべてのモノをなくしてしまっては問題でしょう。
必要なものを必要なところに配置するのが本来の意味です。
しっかりと意味を理解した上でこうした施策をしている方は、めずらしいのではないでしょうか?
(見栄えを良くするなどには良いかと思います。)
基本的に5Sができなていなくても、問題ない製品設計、プロセス設計、装置設計にするべきなのです。人はそれぞれ適正もあり、向き不向きもあります。その中でも問題ないような工程を作り上げる必要があります。
製品にばらつきがあるように、人にも、材料にも、装置にすらばらつきがあります。
その中でいかに良いものを作るかと考えたときに、それらがある前提でモノづくりをしなければなりません。
そういったばらつきの中で工夫するのが対策となるのです。
人が変わって不良が多くなったでは、安定した歩留りになるわけがないです。
抑えるべきポイントが分からないから、ぼやかして5Sと言っているのではないでしょうか。
そのため、歩留り改善で5Sが対策には成り得ないのです。
もちろん、工場の方針であればしたがって下さいね。
歩留り改善について_5 ~困ったときほど原理・原則~
原理・原則に立ち返る
余程の天才でなければ、そう簡単に原因特定、解決などできるわけありません。
経験豊富でセンスのある方であれば、ひらめきにも似た直観力で見事解決に至るかもしれないですが、そのようなことは起きないという前提で進めるべきでしょう。
そのときに必要なものは原理・原則です。
どんなことでも、その現象が起きる理由、理屈が存在するはずです。
問題⇒過程⇒原因を考えることから対策を考える必要があります。
このときの理屈を仮説とします。
仮説を考えたことで、PDCAを回すことができるようになります。
※PDCA:Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)
ちなみにPDCAサイクルでActは次のPlanだと考えてください。
Plan1→ Do→ Check→ Act :Plan2 → Do→ Check→ ・・・・
Checkが終わった時点で次のActionは考えられているはずです。
とにかくスピード重視してください。
PDCを積み上げていくような、らせん状のイメージが正しいと思います。
しかし、そうやって考えていると、まれに閃くこともあります・・・
小さいパズルが頭の中で無意識にはまってしまうことがあるんですね。
歩留り改善について_4 ~不良解析で満足しない~
解析してからの結論付け
不良の原因がわからないときに、「じゃあ、分析してみよう」となることが多いと思います。
断面を切ってみる、組成分析してみる、成分分析してみるなど色々な方法があります。
そこまでは良いのですが、分析した結果、結局原因がわからないで終わってしまうことが非常に多いです。
分析したデータの考察によっては問題解決の糸口になるのに、それを人任せにしないでください。分析をすることが大事なのではなく、そこから次につなげることが大事です。
こう思うようになったのは、分析結果だけで放置している人があまりに多いからです。
そこから何が言えるのか、結論を書きこんでみてください。
「わからない」のではなく、怪しいものは何があって、どのような理屈でそうなったのかを挙げておくのです。
そうすることで、最初に考えたFTAに書くことが増えると思います。
よく迷宮入りするのは、異物の組成分析とかですね。