歩留り改善について_17 ~凡人であることは悪ではない~
優秀な人間は、ほとんどいないことを自覚するべき
私を含めてほとんどの人間が凡人です。
優秀な人材は工場には常駐せず、本社や外に行ってしまっていると思います。
だから、問題がすぐに解決できなくても良いのです。
論理的思考で確実に、堅実に進めることが重要になります。
ただ、早急に成果を求められるのは事実なので、いかに間違わないで正解にたどりつくかがカギとなります。
無駄を省き、誤った選択肢を省くことが一番の近道なのです。
そのためのツールがFTAや統計的手法なのです。
統計的手法を使って、満足してはいけません。
品質管理部門などはそこまで活用できませんので、現場が生かすべきでしょう。
歩留り改善について_16 ~可視化する~
緑の光はパーティクルが見えやすい
目視では見えるサイズに限界があります。
顕微鏡で見るにも、視野が狭いため広範囲を見るには大変な労力が必要になります。
そこでグリーンライトを使って小さい傷やパーティクルなどを見えるようにします。
緑の波長が小さい凹凸に対しては一番視認性が良く、目視では見えないものまで見えるようになります。
フラットな面であれば、だいだい10ミクロン前後のものまで目視で確認可能です。
傷や汚れもはるかに見えるようになります。
また、部屋を暗くして、グリーンライトで照らせば、埃や粉じんもよく見えるます。
これによって、広範囲の面で汚れている場所を確認することができます。
その後、顕微鏡などでさらに倍率を拡大して観察すればよいのです。
強力な光源にグリーンのフィルターを付けたクリーンルーム用ライトなどが有名です。
ネットで探してみて下さい。
歩留り改善について_15 ~旅人の服を脱がすには~
北風と太陽
現場での気づきや違和感などは非常に重要なヒントが隠されています。
また、現場に作業を依頼することもあるでしょう。
そこできちんとした協力を得られるかどうかで、情報量に大きな差として出てきます。
ただ、これをしろ、あれをしろというだけで、作業者は素直に従うでしょうか?
人間は「やれ」と言われたこと、命令に対して、反発する生き物です。
これは本能的なもので、必ず反発する心の作用が生まれます。
それではどうするかというと、普段からその人たちを助けてあげればよいのです。
ちょっとしたことでも、困っていることを普通に解消してあげてください。
それで初めて、こちらが困っているときに助けてもらえるのです。
これは普通のことかもしれないですが、仕事となるとできている人は少ないと思います。
ボロボロの工具を新しくする、分からない仕事の手順書を作る、データまとめのひな型を作るなどなんでもよいです。
良い循環が生まれていくはずです。
ただこういうことを小集団活動などで強制する会社もあります。
「北風と太陽」という誰でも知っている童話があるにも関わらず、偉い人は忘れてしまうのでしょうね。
短期的でいいなら、恐怖で人を縛りつけることもできます。
しかしこれは長続きしません。
心と体が摩耗するからです。
プロのスポーツ選手でも故障してしまえば、戦力外なのです。
いかに故障せずに、コンディションを保てるかが数十年働く上では重要なことなのです。
歩留り改善について_14 ~メーカーに聞いてみる~
プロに聞いたほうが早い
装置や部品の調子が悪いとき、懸命に調べてみても、よくわからないときがあります。
そんなときはメーカーに聞くのが一番てっとり早いです。
だいたいHPに問い合せ先が書かれています。
電話でもメールでも答えてくれますので、わからないことはすぐに聞いておくと保険になります。
メーカーなので、自社製品の情報は集まっているはずです。
だいたいの質問には答えてくれるはずです。
大企業などは、そういう専門の部署があるはずです。
それが仕事なのでガンガン質問してあげましょう。
当然、故障などの対処方法も熟知していますので、怖がらずに電話してみるとすんなり解決することがあるのです。
取説(取り扱い説明書)を見ておくと理解度が上がって質問の質も上がるので、一読しておくのもおすすめです。
緊急時ほど、すぐに電話するのが一番です。
歩留り改善について_13 ~ばらつきをみる~
統計的処置をするときは分布をチェック
よく平均値(Ave)や標準偏差(σ)を使ってデータを処理することがあります。
また設計値はだいたいがAve±3σやAve±6σを使っています。
工程能力の算出にも使われるでしょう。
ただし、こういった処理はばらつきが正規分布していることが条件です。
分布をグラフにしたときに、Aveを中心に山のように見えるものです。このとき山が一つしか出ないことが重要です。
ネットにたくさん出ていますので、調べてみて下さい。
こういったことがわからずに、統計的処理をしているのは危険です。誤った見方によって間違った統計処理をしてしまい、間違った判断をしてしまうからです。
間違った判断で設計をした製品は、非常に苦しい戦いを強いられることになります。
山が二つでていたりするとき、何か予期せぬことが原因で分布が出ているのです。
これは測定の問題、材料の問題、装置の問題であったりするのものですが、放置してよいかどうかを見極める必要があります。
どうしようもないこともあるので、それが良いか悪いかを原理・原則に沿って考えてください。
全てが理想的になることはまれですので、何の制約があって、その結果どうなるといったことを考えそこを抑えておくのです。
これが工程変更などのときに役に立ちます。
歩留り改善について_12 ~分解してみる~
メンテナンス性を期待してはダメ
装置などで隠れて見えないところに汚れやゴミがたまっており、不良の原因になることがあります。
日本の工場は小面積のため、装置はなるべくコンパクトに設計されることが多く、十分なメンテナンススペースはありません。
また、試作機を改造して量産機に転用したりすることもあるため、複雑怪奇な構造になってしまったりしています。
最初は問題ないかもしれません。
しかし、使いこむうちに装置は汚れ、見えないところに汚れはたまるのです。
問題はそれが見えないため、気づかないうちに進行してしまい製品に影響が出てしまいます。
こうなってしまったら、もうばらしてみるしかありません。
配管を分解、外せるところを外し、中を見てみるのです。
ただし、最初にも触れましたがメンテナンス性は無いので大変です。
重労働になりますが、今まで誰もやってなかったので新しい発見がたくさんあると思います。
チューブの中、配管の中にびっしり汚れがこびりついているでしょう。
壁面に堆積した汚れや、削られた痕などがわかるはずです。
薬液で洗浄すれば大丈夫とか、水で落ちてるはずだとか、一度見てからにしてください。
歩留り改善について_11 ~80:20の法則~
80:20の法則
80:20の法則、または働きアリの法則というものがありますが、これがあてはまるケースはよくあります。
改善活動においても当てはまります。
およそ不良の80%が、不良項目の20%で占められるのです。
パレート図を用い、不良ワースト3位の対策を重点的にするのもこのためです。
不良の種類が10項目あった場合、2~3項目で不良の80%を占めていることが多いのです。
限られた時間で結果を出すためには、的を絞る必要があります。
逆に言うと、全てのことに対応することは不可能です。
最大限の成果を上げるためには、全力で改善効果のある20%に対応するべきです。
そして改善効果のある20%、この見極めの判断を間違えないことが重要になります。
そのため最初だけでなく現状把握は常に必要で、日々の不良推移、パレート図などきっちり抑えてください。
そして方針転換が必要であれば、すぐに変更してください。
現場では想定外の出来事も良くあります。早め早めに対応することが結果につながるのです。